
an-real
卒業制作という、アンビルドに終わる制作の価値はどこにあるだろう?
卒業制作を初めとする学生の制作は、実務者のプロジェクトと異なり、概ね実現されないものだ。
そのため時として、現実から乖離した自己満足的な表現、リアリティのない学生らしい誇大な妄想、と揶揄される。自ら卑下してしまう。
しかし、私たちの制作は決して無意味でないはずだ。
たとえ現実に建ち上がることがなく、空想的なドローイングやスケッチ、模型、CG、つまり[UNREAL]な表現に終始しようとも、それは一人一人の切実な思想・感覚の発露だ。それぞれに目の前の[REAL]を咀嚼した結果生まれるものだ。
コロナ禍をはじめとする社会の変動著しい現代に、私たちは何を感じ、どのように変えたいと願うのか。それぞれの思いを卒業制作という形で会場に持ち出そう。
[REAL]にはなりきれない、けれど単なる[UNREAL]ではない、それぞれが信じる[AN-REAL]をこの卒業制作展の場をつかって突き付けよう。
Social draft
本年度、 Day1では建築意匠設計者・構造設計者の方々5 名、Day2では都市計画・建築史・ランドスケープに取り組まれる研究者・建築家の方々5名をお招きして講評会を行う予定です。また Day3 では、“Surface” というテーマに基づいた観点から、建築家に限らない幅広い分野で、また新たな時代を切り開きながら活躍せれている専門家の方々5名をお招きし、学生の「an real」を様々な角度から解釈して評価する卒業設計制作展を目指します。

京都建築学生之会
私たち「京都建築学生之会」は、
京都の大学で建築を志す学生有志によって 1989 年 に 発足しました。
学内における普段の設計課題や研究活動とは別に、学生が大学の 枠を超 えて集い、
学生自らの意思で企画・運営する会です。
近年ではその参加大学も京都だけでなく近畿圏に広がり、
建築を通してより一層多く の人 たちと
コミュニケーションを図ることを目的とし、精力的に活動を続けています。
あらゆるものが多様化し、埋没しない価値が求められる現代社会。
このような社会において、学生達自身が抱く「an real」は何を生み出し、
どのような未来を見せるのだろうか。
私たちは学生達の「an real」は社会における草案、設計図ともいえると考えた。
合同卒業設計展
「Diploma× KYOTO」
「京都建築学生之会」は、設立元年より合同卒業設計展を開催してきました。
過去には「京都六大学卒業設計展」と題し、京都大学、京都工芸繊維大学、立命館大学、京都造形芸術大学、京都精華大学、京都府立大学という6大学で行っていました。こうして築いてきた建築学生の輪を更に一層広げたいと考え、2006 年度からは6大学という枠を外し、幅広く近畿圏から有志を募る方向で組織を改めました。それには昨今の大学の卒業設計への注目度の高まりに加え、社会的な建
築への関心、学生自身の意識の向上も大きな原動力となりました。
展覧会名を「Dipoloma×KYOTO」と定め、今年度は近畿圏から19大学からの参加を予定しています。
発足から 30 年が過ぎ、第 32 回目の展覧会を迎え、150名を超える有志と共に更なる意欲と希望に燃え、新たな歩みを踏み出そうとしています。